November 29, 2003
スパイダーマン(1) 愛情を受け取れる人になる
映画「スパイダーマン」には、何人かの主要な登場人物がいますが、全員が「受け取れない」という問題を持っています。一番の原因は「ありのままの自分では愛されない」と思い込んでしまっていることです。
主人公が憧れるM.J.という女の子を見てみましょう。彼女はこの映画の中で4人の男性に恋をするのですが、その恋の移り変わりは、彼女の家族関係、生い立ちに関係があります。
多くの女性が夢見るように、彼女もヒーロー、王子様を追い求めていますが、その裏側には今の生活にする大きな不満や絶望があるのです。
◎M.J.の家族背景
M.J.は父親と一緒に住んでいます。母親は一緒に住んでいません。どうも彼女たちを捨てて出て行ったようです。父親は自暴自棄で、彼女に怒りをぶつけてきます。母親の悪口もたくさんいいます。彼女はそんな父親や生活が嫌で一刻も早く抜け出したいと思っています。そんな彼女が考え付いた脱出方法は、
1.ステキな男性を見つけること
2.女優になること
でした。どちらも、彼女を今の生活から救い出してくれるヒーローのような存在です。
そんな彼女の一番の問題は、いい男性が見つからないということと、女優としてのキャリアがうまくつかめないことでした。しかし、その裏側には女性としての自信が持てないという問題が隠れているのです。
◎両親と自信の関係
私たちの自信は両親との関係に大きく関わっています。
女性にとって母親は、女性としてのアイデンティティを確立する上で非常に大切な存在です。母親を愛し、受け入れている度合いだけ、また、母親から愛され、受け入れられていると感じている度合いだけ、女性としての自分に自信を持つことができます。
また父親が母親を愛し、自分も愛してくれると、男性から愛される自信ができます。この父親から愛されているという感覚は恋愛・夫婦関係での成功と、仕事での成功にとてもつながっています。
彼女がバイト先の店長から「ミスばかりする」と怒鳴られている場面にも、それなりの意味があります。
彼女の場合は、父親と母親から愛されているという自信がありませんでした。そして、そのために恋の悩みやキャリアの悩みが出てくるのです。
◎1番目の彼
M.J.の一番目の彼はマッチョな肉体的にたくましい彼です。でも、怒りっぽいんです。この時代は彼女は高校生です。高校生の時代、一般的にもてるのは強くて、カッコいい、スポーツマンです。そして、彼女はそんな彼を手に入れます。
運良く、この彼はそれなりにお金持ちのようでカッコいい車も買ってもらっています。彼女はその車もとても気に入ります。おそらく、学校でも自慢の彼だったでしょう。
しかし、この時代の彼、彼女というのは、自分の不完全さを補うためのアクセサリーのようなものです。自分に自信がない度合いだけ、よりたくましい彼、綺麗な彼女が欲しくなります。すると、相手の嫌なところ(つまり完璧でないところ)を見つけると、幻滅してしまうのです。
「こんなはずじゃなかった!」
「こんな人だとは思わなかった・・・」
そして、彼女は高校卒業と同時にこの彼と別れてしまいます。その理由は、この彼がだんだんと高圧的になってきたからです。
よくあることですが、強くてたくましいと思ったので好きになったのに、ただの野蛮な男になってしまったからです。
彼女は父親を見ているので、自分を守ってくれる強くてたくましい男性が欲しかったのです。一番嫌いなのは、自分を攻撃し、非難し、否定する男性です。
しかし、彼はいつの間にか、そんな男性になってしまっていたのです。この彼との関係は、彼女にとって父親との関係の追体験になっています。昔、強くたくましく憧れていたお父さん。それが今は暴力的な父親。同じことが繰り返されているのです。彼女が彼と別れる最後のシーンはまさにそのような場面が描かれています。
そして、彼女がその次に付き合うのは、主人公の親友のハリーです。
◎2番目の彼 ハリー
1番目の彼と別れたM.J.が次に付き合うのは、ハリーです。ハリーは天才科学者を父親に持つ、優秀な男の子です。肉体的な強さを持った1番目の彼の後に、M.J.が頭の強さを持つハリーを選んびます。こういうことはよくあることです。
しかし、残念ながら、ハリーも自分に自信がありません。ですので、彼女への愛情を証明する為に物やパーティを使ったりしてしまいます。いわゆる貢君になってしまっているのです。
それを感じる彼女は
「私が欲しいのは、そんなものじゃない」
「あなたの愛が欲しいのよ」
と、強い愛を示してくれる男性を求め始めます。そこに出てくるのが完璧な男性、スパイダーマンです。
◎理想の恋人としてのスパイダーマン
M.J.はスパイダーマンにすごく憧れています。すべての女性が持っているストーリーの一つ。それはいつか王子様が現れて、私を救ってくれるんじゃないか。そして幸せにしてくれるんじゃないかというシンデレラストーリーです。
M.J.にとっての王子様はスパイダーマンでした。しかし、より強いヒーローを求める心理の裏側には、今の現状に絶望しているM.J.が隠れています。
逆説的ですが、ヒーローを求めれば求めるほど、あなたの周りには絶望的な状況が引き寄せられます。なぜなら、絶望的な状況にいないと、あなたの元に来てくれる男性が、真のヒーローかどうか、困難に立ち向かい、私を救う力があるのかどうか、見分けがつかないからです。
もし、あなたが問題だらけ、トラブルだらけ、ストレスだらけの状況に居るのだとしたら、この要素をチェックしてみましょう。そして、自分に当てはまるようなら、それを手放すことです。
ヒーローは出てこないかもしれませんが、幸せが手に入ります。
◎主人公のピーター
スパイダーマンへの憧れに気付き、彼女が最後に行きつくのは、いつも彼女のそばにいて安心できるピーターでした。彼女は自分が求めているのは、お金や名誉や地位ではなく、愛する人と共有できる平和だということに気付いたのです。
今、NHKでやっている「百年の恋」という番組がありますが、自立した女性、上昇志向の女性が選ぶ男性としてこのタイプの男性を選ぶことがよくあります。それは、ほっと安心できるからです。強がったり、見栄を張らなくていいから、楽なんです。
余談ですが、このタイプの男性は女性のニーズ(依存心)を全面的に引き受ける形になります。そういう男性側としては、自分の中にある無価値感に直面することになります。そういう意味では実は、二人とも自分は愛されるんだろうか?という無価値感を感じているところは非常に似ています。
そして、彼女はピーターに告白をするのですが、ピーターは彼女の愛に応えません。本当は彼も彼女の気持ちに応えたいんですが、断ってしまうんです。彼も「受け取れない」という問題を抱えていたからです。
そして、彼女は失恋してしまったのです。せっかく開いたハートが傷ついてしまうのです。
◎受け取れる人になるには、ハートを開き続けること
私たちは心が傷ついてしまうと、怖くなるので開いていたハートを閉じてしまいます。でも、あなたがたくさん受け取りたいと思われるなら、できるだけ大きくハートを開くことです。
ハートを開いている大きさと、受け取れる量は比例します。
もし、あなたが好きになった人が、スパイダーマンのような、傷ついたヒーローのアーキタイプを持っている男性なら、彼は受け取ることに罪悪感を持っています。
そんな彼を好きになった場合は、彼を説得したり、コントロールするのではなく、今現在の彼を尊重してあげる愛と勇気が必要です。
「幸せや愛情を受け取ってもいいかな」
と彼が思えたときに、彼の目の前にいてあげる女性がいたら、きっと彼はそんな女性を選ぶでしょう。
Posted by yoshi at November 29, 2003 09:22 PMこのホームページをお友達に教えるには?
なんだか、とっても納得しました!
この映画を見たときに、妙なひっかかりを感じる場面が多かったんですけど、深い心理描写の現れだったのですね…。
「スパイダーマン」って、ヒーロー物なのに切ないお話ですよね。
「受け取れない」と自分だけじゃなく、そばにいる人にも悲しい思いをさせてしまうんですね・・・

