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2005年05月14日

真実を選択する~癒着と犠牲を手放そう~映画「Set It Off」

私はこの映画をずいぶん前に深夜放送で見たのですが、もう一度見たいとずと思っていた映画です。そして、先日、ケーブルテレビで放映されていたのを改めて見ました。当時は、人種差別による問題がこのような形で不幸を起こすのだというくらいにしか思わなかったのですが、改めて映画を見ると、色々な気付きがありました。


映画「Set It Off」

映画「Set It Off」


この映画はストーニーという黒人の女の子を中心にストーリーが展開します。昔からの幼馴染の女友達4人組、ストーニー、クレオ、フランキー、T・Tの4人はロスの黒人街でずっと社会の底辺の暮らしていました。彼女たちは家庭や男女関係、仕事などの問題を抱えながらも、互いに励まし合い、精一杯逞しく生きた親友たちです。

しかし、彼女たちの前にはいつも「社会」という壁が立ちはだかります。それは彼女たちの日常をじわじわ押つぶそうとしてきました。そんな彼らに問題が降りかかるところから映画はスタートします。

両親を事故で失ったストーニーは、弟の面倒を見るために、自分の人生や夢を犠牲にし働いてきます。そして、弟がアメリカの名門大学、UCLAに受かった聞き大喜びをします。
「今迄の努力と犠牲が報われた。これで、弟は幸せになれる。この生活から抜け出せる」
そう思ったに違いありません。しかし、問題が一つあったのです。授業料が払えない・・・。

彼女は悩んだ末、お金を作るために体を売ることにしました。そして、そのお金を弟に渡して、
「これで大学にいけるよ」
と言ったのです。

すると、弟は「大学には行かない」と言い出したのです。
「どうして?」と詰め寄るストーニーに対して
「大学には受かっちゃ行かない。姉貴を見ていると、そう言うしかなかった・・・」
それを聞いたストーニーは
「あんたは、私がどういう気持ちでこのお金を作ったのかわかってるの!!!」
と怒りをぶちまけます。すると弟は、
「俺には俺の人生がある。俺のしたいように生きる!」
そう言って反発し、出て行ったのです。

弟はきっと姉の期待をずっと感じていたのでしょうね。彼女の期待に答えられなかった自分を責めていたのです。だから、反発するしか出来なかったのでしょう。

そして不幸が起こります。出て行った弟は、銀行強盗を企てた容疑者と間違われ、出先で警察から射殺されてしまったのです。

その知らせを聞き、現場に駆けつけたストーニーは自分を責めに責めます。最後に喧嘩別れしてしまった。私の最愛の最後の家族を失ってしまった。こうなってしまったのは私のせいだ。彼女は人生のどん底にいたのです。

一方、他の友人たちは・・・。フランキーは職場を終われ、T.T.はシングルマザー。子供の養育能力がないということで子供を奪われてしまう。クリオは、ずっと社会に対して怒りをもっている。
生活する為に、仕方なく彼らは清掃業を始めます。しかし、清掃業という未来の見えない仕事、絶望感から現状にうんざりしていました。きっと彼らは生まれてからずっとそういった閉塞感や絶望感を感じていたのでしょう。

そんな彼らが行き着いた先は「金があれば、現状を打破できる」という考えだったのです。そして、それを実行に移すために、クリオが銀行強盗を提案しました。
初めは反対だったストーニーも、親友たちを助けるため、自らも今の生活から抜け出すために計画に参画するのです。

銀行強盗を実行するために、銀行に下調べに行ったストーニーは、そこでエリートバンカーに出会います。彼はストーニーを人目見て気に入り、彼女を誘うのです。ストーニーにとって、彼との出会いは人生を飛躍的に向上させる出会いだったのです。

彼との付き合いは彼女にとってまったくの別世界への扉でした。収入も、生活も違う。付き合っている友人も違う。住んでいる家も違う。彼女がずっと夢見ていたような生活がそこにはあったのです。

彼女は人生の分岐点に立っていました。彼を選べばリッチで幸せな人生が待っている。彼女がずっと望んでいたものがそこにはありました。でも、一方ではずっと支えあったきた友人たちは苦しんでいる。
彼女はその狭間で罪悪感を覚えていたのです。
「私、一人が幸せになっていいんだろうか・・・?」

これは、彼女が自分の幸せや人生よりも弟を大学に行かせようとしていた力学と同じです。苦労して支えあって来た友人と弟。彼女は幸せが近づいてきたとき、自分が受け取らずに、もっと困っている人、愛する人の為に差し出すという犠牲のパターンをもっているのです。

[癒着]                  [つながり]
友人・弟  ⇒⇒⇒⇒⇒ストーニー⇒⇒⇒⇒⇒彼
不幸・貧乏 ⇒⇒⇒⇒⇒     ⇒⇒⇒⇒⇒幸せ・豊かさ
[罪悪感・無価値感]          [愛]

こういう心理構図があるのでしょうね。だから、彼女はそういうチャンスが来たときに、いつも左側の元の生活に戻ってしまうのです。彼女の罪悪感は、人生をずっと支配してきました。そして犠牲の愛は、愛する人を苦しめてしまうのです。

彼女が罪悪感を手放せたとき、新しい人生のスタートができるのです。
誰かに対して、罪悪感や無価値感などの攻撃をすることなく、次のステップに進めるのです。そこには本当のつながりが待っているのです。

映画の最後にストーニーが髪の毛を刈り上げるのはそのシンボルでしょうね。

投稿者 yoshi : 2005年05月14日 12:56

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コメント

いつも明晰な映画解説、楽しく読ませてもらっています。特に今回おすすめの映画、ぜひ観たいと思いました。
私も、苦労してきた兄たちや酒びたりの弟、孤独な父をおいて、自分が幸せになることに罪悪感を感じつづけてきたからです。

何が私の幸せなのか、いまだにその答えは出ませんが、自分にとっていいと思えるものを常に選択し続けていく先に、どんなに遠回りでも答えはあると信じたい。
私には無理。と言うのはもうやめたいと思いました

投稿者 kanako : 2005年05月16日 00:05

kanakoさん、こんにちは、北端です。そうですね、「私には無理」をやめて、自分にとっての幸せや真実を選択してみましょうね。はじめは不安や恐れ、抵抗があるかもしれませんが、いっぽ踏み出す勇気を持ってください。
この映画に興味を持っていただけたようなので、もう一つ癒着と罪悪感をテーマにした映画をご紹介します。ご覧になったことがあるかもしれませんが「ギルバート・グレイプ」という映画です。http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005V2N5/qid=1116197359/sr=8-6/ref=sr_8_xs_ap_i6_xgl27/249-9491208-9774710
こちらもよければご覧下さい。
では、応援していますね!

投稿者 北端 : 2005年05月16日 07:51

はじめまして、この映画とてもいいですよね!最近また見たいと思ったのですがビデオを無くしてしまってはがゆい気持ちです。DVDで出ればいいのにな~。10年後の自分を常に考えていまは頑張ってます!!

投稿者 T.I.K1NG : 2010年06月09日 21:30

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