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2001年12月31日

「燃え尽き感」を癒して、幸せを手にした会社経営者 トシアキさん (45歳)

クライアントの体験談

トシアキさんがカウンセリングに来られたのは、奥さんと母親の仲が悪くなり、自分ではもうお手上げ状態になったからです。

経営者として忙しくしているトシアキさんが家に帰ると、奥さんとお母さんが、彼に不満や愚痴を聞いて欲しくて待っています。仕事が終わり、ゆっくりしたいけれど、家に帰っても「話を聞く」「二人の問題の仲裁をする」という仕事がある彼は、次第に、家から足が遠ざかってしまいました。

「これでは危ない!」

そう感じた彼は家族の問題を解決するために、カウンセリングに来られたのです。しかし、この問題が思わぬギフトを彼にもたらしてくれました。


※ご本人の了承を得て、掲載しております。



私がカウンセリングを受けようと思ったのは、妻と母の仲がだんだん険悪なってきた時期でした。経営者という立場もあり、職場での重圧もありますが、妻と母の仲が悪くなって、家に帰ってからも二人の話を聞かねばならず、本当にうんざりでした。

次第に、家から足が遠ざかり、社員や取引先と飲みに行って、家に帰る時間を遅らせ始めたのです。

あるとき、ふと、このことに気づいて「ヤバイ!」と思いました。このまま家庭からどんどん気持ちが遠ざかれば一体どうなるのか? 帰る家を失ってしまうような寂しさ、怖さを感じました。

それから「何とかしよう」と思って、いろいろ探していると、カウンセリングにたどり着きました。

そんな話をすると、先生が

「それはよいことに気づきましたね」

と言われるんです。

「多くの男性は、この危険信号に気づかずに、仕事中毒、アルコール中毒、浮気、うつなどの問題を引き起こすのです」

「あなたはとてもよい感性をお持ちです」

こう言われたときは、正直、褒められているのか、どうかよくわからず、複雑な心境でした。(笑)

カウンセリングを受けて、一番衝撃だったのは、私が「解決指向型人間」だから、妻や母が私に問題を持ってくるという話でした。

それまでは、私は

「解決することが私の仕事で、そこにこそ、私の価値がある」

と思っていました。


先生に、

「会社でも、家庭でも、すべての問題の解決をあなたがしているのではありませんか?」
そう聞かれて、ハッと気がつきました。

よくよく考えてみれば、会社でも私の前には部下からあがってきた「社長判断が必要な書類」「承認を求める書類」「クレームの書類」など、私が責任を持たなければならない案件ばかりでした。

しかし、中には、「これくらい、自分で何とかしてくれよな~」という案件もたくさんあります。そんな時、頼りにならない社員に腹立たしさと失望感を感じながらも、私は処理をしてきました。それが、経営者の務めだろうと思っていたからです。

しかし本当は、社員にも、妻にも、母にも、「いい加減、自分で何とかしてくれよ」と内心思っていたことに気づきました。

そんな話をしていると、先生が人の成長プロセスについて話をしてくれました。

「人は子供時代、親に依存している状態から、自立して、人の役に立ち、与えられる人間になることで、自分の価値を作り上げていくんです」

「でも、そうなると、一方で、”何か役に立っている自分”はOKで、”何もしていない自分”は役立たずだという思い込みができます」

「この思い込みが強い人は、”何もしない”ということに罪悪感を感じたり、”何もしない=自分の価値の喪失”と思って、問題を手放すことができないのです」

「逆に言えば、自分の価値を感じるために問題が必要になってくるのです」

「そして、自分では問題を解決できない依存的な人たちを周りに作り出すのです」

「彼らが困って助けを求めてきたら、役に立っていると感じることができるからです」

これを聞いたときは、ハンマーで頭を殴られたような衝撃を受けました。

もちろん、依存的な人を周りに作り出すなんて意図的に思っていたわけではありません。でも、実際にそういわれてみると、確かに現実はそうなっています。


会社でも、家庭でも、私の肩に問題がのしかかってくる理由が、こんなところにあったとは・・・。

でも、そういわれても一体どうすればいいのかわかりませんでした。

「では、一体どうしたらいいんですか?」

と聞くと、

「”いつも何かをしていなければいけない””私が責任を持って対処しなければいけない”という観念を手放すことです」

そういわれても、よくわかりませんでした。

「よくわかりませんが・・・」

というと、

「あなたのお父さんはどんなお父さんでしたか? 父親としての責任をちゃんと果たしていた父親でしたか?」

と聞かれました。

私の父は、仕事人間で働きづめでした。勤めていた会社ではそれなりの地位についていたので、仕事三昧で、あまり父親と接した記憶はありませんが、家族を養うという意味では、父親は責任を果たしていました。

そういうお話をすると、

「お母さんはあなたに過干渉でしたか?」

と聞かれました。過干渉かどうかわかりませんが、確かに心配性で、世話焼きでした。その話をすると、

「お母さんは、お父さんが家庭にいない寂しさを子供との心の絆で埋めようとしていたようですね」

「お母さんと同居されているということは、きっとあなたが一番兄弟の中で、母親思いなのでしょう。”母親の面倒は自分が見るんだろうな”と心の中で感じてきたのかもしれません」

そういわれて、若いころから、漠然とそう思っていたことを思い出しました。よく考えてみれば、結婚するまで親と同居で、父親が亡くなり、その後、結婚したので、そのまま3人暮らしを始めました。

「あなたは、”母親の期待にこたえること=恩返し”と思っているようです。そのために、母親が困っていると、あなたはいつも助ける。あなたが実家を出たことがないのも、お母さんに寂しい思いをさせたくないからかもしれません」

「それは、とても親孝行なことですが、一方では、お母さんが一人では寂しさを乗り越えれず、ご近所との付き合いや、友人との関係を作らなくてもいい許可をあげているのです。良い・悪いということではなく、これが人を依存させているということなんです」


確かにそうでした。母親が寂しく、一人で暮らしているのを見るくらいなら、自分や妻が我慢して一緒に暮らしてあげれば、それで嫌な気分にならなくていい、そう思っていました。そんな話をすると、


「あなたが会社でも、家庭でも、困っている人を見ると、ついつい自分で動いてしまうのは嫌な気分にならないためなんです。でも、犠牲していると疲れてしまうんです」

「あなたが、お母さんや奥さん、社員の力を信頼していないということはわかりますか?」

そう聞かれたときは愕然としました。確かに、私の中で、自分が力を貸さないと、母も妻も、社員も自力では何もできないと思っていることに気づいたからです。

「あなたに必要なのは、みんなを信頼して、頼りにするということです」

「リーダーの仕事は、”こういう家庭、会社にしたい!”と方向性を示すことです。そして、そのために奥さんを信頼する。自分も助けてもらうし、彼女にも助けてもらう。会社では社員を頼りにして力を貸してもらうことです」

そういわれて、確かに一人で頑張ってきたんだなと思いました。家庭でも、会社でも、思っていることはあっても、話すこともなく、自分ひとりでやってきたことに気づきました。

「まずは、奥さんと家庭の状況について話をして下さい」

「きっと、奥さんもいろいろ我慢しているでしょうから、まずはその話をただ、聞いてあげてください。奥さんの不満を聞くと責められているように感じるかもしれませんが、とにかく、何も言わずに聞いてあげてください。そして、奥さんが頑張ってきてくれたことを労ってあげてください」

「その後に、あなたの望みを話して、奥さんの希望も聞いてあげてください。これは後日でも構いません」

そういわれて、家に帰って妻と話をしました。すると、先生が言ったように、妻が我慢していたこと、不満がわんさか出てきたんです。

先生に、「ただ聞いてあげて下さい」といわれていなかったら、きっと口を挟んだり、反論していたと思います。でも、じっと我慢して聞いて、妻が家庭で努力していたことにねぎらいの言葉をかけました。

すると、妻が急に泣き出して、

「いつも疲れて、めんどくさそうな顔をして話を聞いているから、あなたにそんなこと、言ってもらえるなんて思ってもなかった」

といいました。そんな気持ちにさせていたのかと、本当に反省しました。

その後、私がこれから作っていきたい家庭の雰囲気の話をすると、彼女もいろいろと希望を語ってくれて、二人で前を向いて家庭作りに向き合っていけるような感触がありました。

そのことを先生に報告すると、

「同じことを会社でも社員の方にしてみてください。社員の話を聞いて、日ごろの彼らの仕事ぶりを労ってあげてください。そうすると、きっとやる気を出す社員が出てきますよ。そして、”俺はこんな会社にしたいんだ。みんなにはこんな仕事をして欲しいんだ”と夢を語ってください」

そういわれて、会社でもやってみたんです。すると、社員の何人かがすごくやる気になりまして、今まで、何の意見も言ってこなかったような社員が意見やアイデアをメールで送ってくるようになったんです。

その後のカウンセリングで教えてもらったことですが、私が自立しすぎて、一人頑張りすぎ、社員や妻の活躍できる場所を奪ってしまって、やる気を殺いでしまっていたようです。

私は「妻も社員も一人では何もできない」とうんざりした気分になっていましたが、実は、私が当てにせず、頑張りすぎていたせいで、みんなイキイキできなかったんだと実感を持って気づきました。

今では、家庭でも、会社でも、妻や社員が力を貸してくれるので、以前のような疲れがなくなり、みんながイキイキしている表情を見れるのがとても幸せです。

私が余裕ができた分、母親の話を聞いてあげる時間ができて、妻への負担も減ったようです。

誰かを信頼すると、自分も楽になって、みんなイキイキするなんて思っても見ませんでしたが、こんなことが起こり得るのだと自分でもビックリしています。

ありがとうございました。


★心理カウンセラー 北端のコメント

トシアキさん、体験談、ありがとうございました。彼が書いてくれた体験は、自立的で、責任感の強い人が陥る典型的な罠、デッドゾーン(燃え尽き)と、その乗り越え方を教えてくれています。彼のような状態に入ると、なかなか周りを信頼できず一人で突っ走ってしまったり、不満や怒りをぶつけてしまい、問題を複雑にしてします。
トシアキさんがすばらしいのは、根気強く、周りの話に耳を傾けて、ビジョン・コミュニケーションを続けたことですね。
きっと、奥さんも社員も、彼の想いを感じ取ってくれたのでしょう。
これからも、すばらしい家庭と会社作りに励んでください。応援しています。

投稿者 yoshi : 2001年12月31日 09:00

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